手作り布マスク 効果 感染リスク高まる
新型コロナウイルスによる肺炎等の世界的な感染拡大を受け、日本ではマスク不足がメディアで毎日のように取り上げられています。
マスク不足の原因としてはドサクサに紛れての買い占め、高額転売が問題視されています。
そもそものマスクの働きは、
ウイルスに感染してしまった方が第三者へ感染を拡大させない拡散予防効果です。
花粉症の季節でマスクが必要な人がいるのに医療機関でさえマスクが不足しています。
一般の方の間で、マスク不足対策として「手作り布マスク」が注目されています。しかし、布マスクはウイルス感染を予防する効果はかなり疑問が残りますし、逆に布マスクはウイルス感染を助長する、との医学論文さえ存在します。
今回は布マスクはウイルスの感染予防にはならず、逆にウイルス感染しやすくなるかも、との話をします。
今回見つけた医学論文は医療従事者用の布マスクと通常の医療マスクを比較した研究です。
調査はベトナムのハノイにある14病院です。感染症のハイリスクである病棟で働く医療従事者1607人を医療用マスク、布マスク、そしてコントロール群の3つのグループに分けています。
「A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workers.」(PMID: 25903751)より
結果は下です。
CRIはClinical respiratory illnessの略で臨床的に呼吸器症状が出る疾患、ILIはinfluenza-like illnessの略でインフルエンザ様の疾患のことです。Virusと書かれているのはウイルス感染であると確定診断された症例です。
この研究は
布マスクは医療用マスクと比較して、ウイルス感染するリスクが高い
との結果になっています。布マスクは粒子を97パーセント通過させ、一方の医療用マスクであっても44パーセント通過させる、との記述も気になりました。
この論文の研究方法はランダム化比較試験(randomized controlled tria、略してRCT)で行われていますので、信頼度は高いものと判断できます。
この医学論文はまた気になることを結論に加えて述べています。
布マスクは感染リスクが高まるので、リスクの高い状況で布マスクは推奨されるべきでは無い
医療従事者が布マスクを使用してもウイルスの感染は防げなかったのです。一般の方が布マスクを手作りして、それを一般の方が使用するとなると、感染リスクはさらに高くなってしまうと考えられます。
若干パニック気味の新型コロナウイルスのよる感染症問題。このような時期になると、いい加減な情報を垂れ流す素人、メディアで無責任な発言をしてしまう医療系の専門家もいます。
正しい情報を見分けることはかなり難易度が高いです。このような場合は公的機関が公表している情報が一番信頼度が高いと判断するべきです。
手作りマスク
愛情のこもった手作りマスク、花粉症の予防にはなるとしても、あるいはご自分が感染したウイルスを周囲に撒き散らさない効果は期待できます。しかし、今問題となっているウイルスから自分を守る効果は期待できないだけではなく、感染リスクが高まる可能性さえあるということを知っておく必要があります。